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令和6年度司法書士試験

 毎年7月の第一日曜日が司法書士試験の日で、10月に発表があります。昔は都道府県ごとに試験会場があり、それぞれの合格者数が発表されましたが、現在は高裁所在地のみが受験会場ということもあり、中国地方の受験生は広島管区での一括の発表になります。同管区では30人の合格者数があり、鳥取県は何人入っているのかわかりません。試験内容自体は変更はなく、午前の部は択一35問で2時間、午後は択一35問と記述2問で3時間という内容です。ただ、令和6年度から配点が大きく変更になりました。これまでは択一は1問3点で合計210点満点、記述は1問35点で合計70点、全体として280点満点になっていました。ところが今年は、記述の配点が倍の140点となり、全体としては350点満点になりました。記述を重視したいという趣旨なのでしょうが、同じ問題を出して単に配点を倍にするという安直さは、少し頂けない気がしますね。合格者数は同程度ながら、受験生への影響は少なくなかったと思います。
 私はほとんどの受験生が、すべての答案を解き切る時間がない構成の司法書士試験の在り方に常々疑問を持っています。持っている知識の差で決着がつくわけではなく、時間内の答案作成スキルで合否が決まる試験になってしまっています。何を考えて問題を作っているのか、一度出題者に聞いてみたいものです。
 
2024年10月07日 07:54

消滅時効について

 消滅時効というと、皆さんはテレビドラマの刑事事件を思い浮かばれるかもしれません。しかし、実際に時効が問題になるのは債権の消滅時効が圧倒的に多いです。金を借りても弁済期を過ぎて、何の催告もなく一定の期間が経つと、時効の援用によって借金が消滅します。旧民法の規定では、債権の消滅時効は権利行使できるときから10年と定められていました。権利行使できるときとは、弁済期と考えていただければよろしいです。ところが、令和2年4月の民法改正により、債権の消滅時効が5年に短縮されました。これは世の中に非常に大きな影響のある重大な法改正でした。分割払いのような場合には、それぞれの割賦金ごとに時効が進行する扱いになります。
現在は法改正以前の契約分については、旧民法規定の10年の時効期間、法改正後の契約分については5年の時効期間という具合に、二つの時効期間が混在している状況です。ちなみに銀行が通帳記録の保存期間を10年としているのは、それ以前の古い記録は弁済送金の記録として法廷で使う必要がないという判断からだと思われます。
 
2024年10月03日 10:22

固定資産評価証明書の交付申請書

 不動産の移転登記を求める訴訟を提起する場合には、訴額算定の基準は不動産価格になります。土地は2分の1で計算し、建物は価格そのもので計算します。土地と建物の所有権移転登記を求める訴え提起の訴額は両者の算定価格を合算したものになります。訴訟を提起する際には、訴額の算定根拠として固定資産評価証明書を提出します。ところで、当該不動産の固定資産評価額を証する書面は、不動産の所有者でなくては取得することができません。不動産の登記名義人を被告として、所有権移転登記を求める原告は通常の手段では取得することができないわけです。このような場合には、「固定資産評価証明書の交付申請書」というものを利用して取得します。弁護士又は司法書士が所定事項を記載して、職印を押して市町村役場に申請すると、身分証明書で資格確認をした後で交付してくれます。
 
2024年09月30日 12:43

司法書士会連合会副会長逮捕される!

 羽賀研二容疑者が強制執行の妨害の為に、実体上の移転根拠がないにも関わらず、自身の保有する不動産の登記名義を会社に移転した容疑により逮捕されました。いわゆる通謀虚偽表示に基づく公正証書原本不実記載罪というやつです。ここまでなら、元タレントの犯罪ということで単なるゴシップです。ところがこの所有権移転登記に、司法書士会連合会の副会長である野﨑史生容疑者が関与しており、同時に逮捕されたということです。おそらく事情を知った上で、不実の登記に協力したということだと思います。これを受けて司法書士会連合会のホームページに急遽会長の声明が出されることになりました。
 これは司法書士に対する社会の信頼を大きく損なう事件で、実に遺憾と言わざるを得ません。このような人物が連合会の要職に就き、司法書士にメッセージを出していたのかと思うと頭が痛いです。
 
2024年09月27日 07:52

後見人制度の問題点

 相続手続において、銀行預金や株式のような被相続人の財産は、不可分債権として法律上扱われます。わかりやすくいうと、相続関係を証明する書面を銀行や証券会社に提出しても、相続人が自らの法定相続分相当の財産を移転できないということです。この手続を行うためには、遺言書、遺産分割協議書、または相続人全員の同意書を提出して被相続人の財産を分割手続を経ないとなりません。ここで問題になるのが、被相続人の中に制限行為能力者がいる場合です。未成年者の場合には、保護者が利害関係人になる関係上特別代理人を選任して、この手続を代行させることができます。ところが、認知症の成年者の場合には、特別代理人により手続を代行させることは認められていません。唯一の方法が成年後見人を選任して、成年後見人に法律行為をさせることです。なぜこのような扱いなのかは疑問の残るところです。なぜならば、成年後見人が代理する手続自体は、特別代理人が代理する手続と変わりがないからです。被後見人の法律上の分配金を本人の口座に移転するという、特別代理人の仕事と全く同じことをするにすぎません。もちろん、本人の口座は銀行により凍結されるので、誰も使えない金が本人口座に入っても意味がないというのが、政府の考えということでしょうか。ただ、成年後見人は被後見人の財産管理を生涯にわたって行うもので、法律家が選任される場合には報酬支払をし続けなくてはならないというデメリットがあります。認知症の相続人の権利保護と他の相続人の権利保護の調整という意味で、特別代理人による手続代理を認めるべきではないかと当職は考えています。
 
2024年09月25日 08:38

商業登記規則の変更について 代表取締役の住所の記載

 商業登記規則が改正となり、10月1日から新たに登記される代表取締役の住所の登記事項証明書等の交付書面への記載が市区町村までに変更になります。既に登記されている代表取締役の住所については、従来通り登記事項証明書等に完全な住所が記載されたものが交付されます。今後住所変更をされたり、新たに就任された代表取締役については、市区町村までの住所が記載される扱いになります。もっとも、登記申請における添付書面が変更になるわけではなく、法務局に代表取締役の住所情報を提供しなくてはならない点では変更はありません。
2024年09月20日 11:22

民法改正 嫡出推定の変更と婚姻禁止期間の廃止

 法律というものは、時代の変遷に従って改正されていくものです。中でも重要なのは、やはり民法の改正になります。単なる手続法の改正と異なり、人の権利関係の基準が変わるので、影響は非常に大きく、通常は最高裁の大法廷の判例によって見直しになります。最高裁で決定的な判決が出ると、これまでの法運用は実態上停止又は変更されて、国会は速やかに新法を決議することになります。皆さんもご存じかと思いますが、嫡出推定に関する民法規定がこの四月から改正になりました。これまでは、離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子、婚姻後100日経過後に生まれた子は現在の夫の子と推定される旨の規定でした。この規定があったために、女性についてのみ離婚後100日の婚姻禁止期間というものが法定されていたわけです。この民法規定に関して多くの裁判が争われましたが、結局婚姻禁止期間の廃止と、婚姻後に産まれた子供の現在の夫への嫡出推定が法定されることになりました。
 
2024年09月17日 10:29

相続分譲渡証書の注意点

 相続登記の場合に、法定相続分と異なる相続分による移転登記をするためには、法定相続分を変更した根拠として、遺言書または遺産分割協議書を添付書面として提出します。遺産分割協議書を作る場合に法定相続人が非常に多い時は、相続分を受けない方々に相続分譲渡証書を出してもらって協議の人数減らしをして、少人数の遺産分割協議書を作ることが多いです。ところが、この便利な相続分譲渡証書には制約があります。これは同一順位間の譲渡について有効であるという点です。つまり、代襲相続人たる孫が子に相続分譲渡証書を出すことで、遺産分割協議から離脱することはできないということになります。
 
2024年09月13日 09:31

墓参り

 この週末は父の命日であったこともあり、暑い最中に母と墓参りに行ってきました。花を供えて、水をかけて、線香をあげるという、いかにも仏教的様式で手を合わせてきました。父は現代の様式化した仏教の在り方を生前批判していたこともあり、葬儀も坊主無用、戒名不要ということで、お別れの会という簡素なもので執り行いました。それにも関わらず、やはり墓やお供えなど、仏教的な形式になってしまうのは、先祖を祀る行為は多分に伝統的な行為だからだと思います。葬儀や先祖の弔いというのは、宗教行事の側面もありますが、世俗的風習という側面もあるわけで、これと全く異なったことをやろうとすると、創意工夫が必要になって困ってしまいます。昔は墓参りをするのに、特別な感情もなかったように思うのですが、さすがに親の墓参りとなると、この世の無常と自分の行く末を考えざるを得ません。
 
2024年09月10日 13:29

自死対策事業相談窓口担当者連絡会

 行政からの要請で自死対策、予防、相談、支援等を目的としたネットワーク作りをしていこうということから自死対策事業者相談窓口担当者連絡会というものが、年1回開催されています。鳥取県の場合は東部、中部、西部の3ブロックで開催され、私は西部の会議に司法書士会の立場で参加してきました。司法書士会は自殺対策専門の窓口を設けることはしておりませんが、自殺原因のひとつである財政破綻者の救済という部分で、債務整理や破産手続について差相談窓口を持っております。鳥取司法書士会の代表電話の方にかけていただきますと、担当の司法書士を通して手続等のお手伝いをさせていただくようになっております。市町村役場やハローワークや消費者センターのような場所では、相談窓口もあります。また、お悩みの方の電話相談窓口として「いのちの電話」という社会福祉法人の方でありますので、思い悩んでいる方はご利用になってみてください。
 
鳥取県司法書士会(平日13時から16時)
 債務整理、サラ金クレジット関係の相談 0857-27-4168
 面談による無料相談予約 0857-24-7024
 
いのちの電話
 相談電話 0857-21-4343(12時から21時、年中無休)
 ナビダイヤル 0570-783-556(有料、毎日10時から22時)
 
2024年09月04日 10:02

廣澤司法書士事務所

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