取締役の任期
有限会社の設立が出来なくなった現在では、小規模の会社でも株式会社の形式で設立されることが増えてきました。私たちが設立に関わるのは、非上場企業の取締役会非設置会社がほとんどです。会社法は大会社のガバナンスを考慮して作られていますが、日本の会社の大半は取締役会のない小さい会社です。取締役の任期は選任後2年以内に終了する最終の事業年度の定時株主総会の終了時までというのが、会社法の基本設定です。しかし、非公開会社の場合には、この任期を10年まで伸長することが認められています。10年に設定すると、役員変更登記は10年に1回でよいというメリットがあります。それでは、私たちが会社設立を依頼されたら10年の任期を設定することをお薦めするかというと、必ずしもそうではありません。例えば家族会社のように、家族の人しか取締役になる可能性がないなら10年で決まりです。しかし、従業員を昇格させて取締役にするとか、他人との共同経営である場合には、将来袂を分かつ可能性があります。株式の持分的に当該取締役を解任できたとしても、不祥事もないのに本来の任期前に解任すると損害賠償を請求される可能性が高いです。このようなリスクを避ける為に、家族会社でない時は、4年とか5年の取締役の任期を設定するのがよいと私は考えます。
2025年10月27日 15:49

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