消滅時効の援用と税金の関係
消滅時効と云えば、皆さんはテレビドラマにありがちな、殺人犯が時効完成目前に逮捕されるイメージを抱かれるのではないでしょうか。このようなケースもあると思いますが、法律実務的には、貸金債務の消滅の為に時効を援用することが多いです。現在の民法の規定によりますと、金銭消費貸借契約を結んで金を借りた後、弁済期(返済期限)から5年を経過すると、この契約に基づく借金が時効になります。もちろん、弁済期が来てから貸主が時効を停止または、更新する手続がありますので単純ではないのですが、貸主が何もしないと5年で時効が完成します。借金していた人は時効だから返す義務はないと通知することができるわけです。好き嫌いはともかく、これが法律の定めです。債務者は債権者との関係では、借りた金を合法的に返さなくてもよくなります。今回の話は、借主が貸主に対して消滅時効を援用(時効完成を通知)した場合に、この借りていた金は、税務署との関係ではどのような扱いになるかということです。結論から申しますと、借主が借りたお金は借主が一時所得を得たとみなされます。高額の馬券を当てたのと同じ扱いということですね。50万円の控除枠を引いた残りのお金の50%は所得税として支払わなくてはならなくなります。少額の場合は、請求されない可能性もありますが、高額の場合は確実に請求書が送ってきます。民法は借り得を許しても、所得税法は許さないということでしょうか。
2025年10月12日 10:22
投稿されたコメントはありません