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遺産分割協議書と相続分譲渡証明書

 被相続人が遺言書を残さず死亡した場合、通常は遺産分割協議書を作って相続財産の整理をすることになります。しかし、代襲相続や二次相続を含む多数の法定相続人が存在する場合には、住所地が異なったりお互いに面識がなかったりして、遺産分割協議書の作成が困難になります。このような場合には、被相続人と関りがあまりない相続人に対して、依頼人に頼んで相続分を譲渡してもらうように話をつけてもらって、相続分譲渡証書に署名捺印してもらいます。(ちなみに、相続人に直接お願いできるのは遺族か代理人弁護士で、司法書士には協議に関与する権限はありません。)この相続分譲渡証書を提出してもらうと、その人は遺産分割協議から除外され、少人数による協議書の作成が可能になります。もちろん協議に参加する人の間に争いがある場合には、遺産分割調停の申立をして決着することになります。それでも、相続分譲渡証書を提出した人は調停からも除外されるので、手続としてはかなり簡単になるわけです。法律の想定している状況というのは、比較的少人数の遺産分割であって、数十人の面識のない法定相続人の遺産分割ではありません。しかし、そのような状況に対応するのが法律実務であって、一見簡単な手続が難しいことも少なくありません。ご自身で困難な遺産分割手続がある場合には、法律家に相談されることをお勧めします。
 
2024年01月17日 08:21

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