名寄帳と固定資産評価証明書
不動産の移転登記の申請をする際には、登記申請の添付書面の他に不動産の課税価格の算定根拠として申請年度の名寄帳(なよせちょう)のコピーを提出することが多いです。固定資産評価証明書でもよいのですが、非課税不動産の有無の確認ができることから名寄帳の方が登記漏れを避けられるという利点があるからです。しかし、最近関わった相続登記案件で、明治時代にお亡くなりになった方を表題部所有者とする土地の保存登記では、思わぬところで固定資産評価証明書の利点を教えられました。相続人のひとりがご先祖様名義の不動産の固定資産税を払っていることは、珍しくありません。そのような場合、名寄帳には誰の不動産であるかを追加情報として記載してあります。しかし、ここにはご先祖様の名前はあっても住所の記載はありません。登記簿に記載されている表題部所有者(登記簿には表題部所有者の住所の記載はない)と戸籍上の死亡者との関係性の証明には使えないわけです。ところが、固定資産評価証明書には、不動産の表題部所有者の氏名と住所が記載されているのです。従って、このようなかなり昔に亡くなった表題部所有者の相続人が保存登記を申請する場合には、固定資産評価証明書を被相続人の最終住所の補足情報として提供できるという理由から名寄帳に勝るわけです。
2023年11月08日 08:08
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