合わせ柿の化学
私は合わせ柿が好物で、この季節には新鮮市場で買ってきた西条柿を焼酎で渋抜きして食するのを楽しみにしています。渋柿を食べる上では、渋抜きの作業が不可欠です。渋みの原因は柿に含まれるタンニンとされているのですが、これは一定の性質を有するポリフェノールの総称であって単一化合物ではありません。渋抜きとは、柿に含まれる水溶性のポリフェノールを不溶性に変化させて、舌で渋みを感じさせなくする過程になります。実際の反応は嫌気性条件を柿に課すことでアセトアルデヒドを内部発生させ、ポリフェノールを架橋して巨大分子に変化させるものです。その嫌気性条件の作り方が、渋抜きの方法として利用されているドライアイスやアルコールの処理になるわけです。食文化の発展の背景には、バイオロジーやケミストリーが隠れているのですね。
2023年10月27日 16:39
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