事前通知制度
不動産登記法には、事前通知制度というものがあります。これは登記申請によって所有権や抵当権の権利を失う、登記義務者の本人確認手続のひとつです。通常登記義務者は、登記識別情報という登記名義人に交付されている12桁の暗証番号を提出することで、申請者の本人確認及び申請意思確認をすることになっています。しかし、実務上は登記識別情報を無くしてしまったりして、この暗証番号を提出できない状況が起こりえます。その場合に利用できる方法のひとつが、事前通知制度になります。この方法は、司法書士が手続の際に法務局に申し出るものではなく、登記識別情報なしに登記申請をした場合に法務局が取る手段になります。法務局は、登記識別情報無しの申請書を受け取ると、即日登記義務者宛てに本人確認郵便を郵送します。受取人が、その書面に登記申請委任状に押したのと同じ実印を押して2週間以内に返送すると、登記が受理されるという仕組みです。この手続の欠点は少し時間がかかる点で、積極的にやりたくはない手続です。しかし、抵当権者が書面を抵当権設定者に交付したにもかかわらず、これを紛失してしまったような場合には、全く非のない抵当権者(通常は銀行等の代表者)に公証人認証や司法書士事務所での本人確認情報作成のためのインタビューなどお願いできるはずもなく、この手続を利用することになります。
2023年10月23日 09:25
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